| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-205 (Poster presentation)

冷温帯半自然ススキ草原の葉群フェノロジー −10年間(2005〜2014)の画像解析−

関川清広*(玉川大・農・生物環境),小宮澤奈未子(関東国際高校),七夕高也(理研・環境資源),永井信(JAMSTEC)

草原生態系における葉群動態の季節性と年々変動,それらに影響をおよぼす要因を明らかにすることを目的とし,筑波大学菅平高原実験センター内の半自然ススキ草原(長野県上田市)において,2005年から葉群動態とPARなどの環境要因をモニタリングしてきた(生態学会2010,2011,2012,2014).草原中央の櫓頂部と櫓に近い草原地表付近に設置した各1台の自動撮像型魚眼デジタルカメラ(ADFC)により,草原全体を見渡す草原画像と葉群を見上げる全天画像を毎日撮影した.草原画像のRGB各色のデジタルナンバーからGEI(green-excess index=2G−R−B,Richardsonら 2007)を算出し,また全天画像の開空率に基づいてLAIhiを算出した(HemiVeiw,ver. 2.1).LAI2000によるLAI測定結果,カメラ付近で測定した葉群内外の環境データと上記センターによる気象観測データを合わせて,比較解析した.地温に基づく推定消雪時期は,年によって3月下旬〜4月中旬であった.GEIは,5月上旬に増加し始め,5月下旬に50(秋津ら 2011)を越え,6月下旬に最大に達し(最大GEI=90〜160),7月中旬以降に減少し始めた.一方LAIhiは,5月下旬以降に増加し始め,7月下旬まで急激に増加し,それ以降は増加が緩やかになり,8月中に最大に達し(LAIhv最大値=4〜8),9月上旬以降やや減少した.2010年以降と比べ,2005〜2009年のLAIhiは増加が遅く,最大値が低めであった.講演では,これらの結果を総合的に解析し,報告する.


日本生態学会