| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-219 (Poster presentation)

栄養塩保持機能からみた泥炭地の同質性評価

*木塚俊和(道総研・環境科学研究センター),矢崎友嗣(北大院・農),濱田洋平(北大院・農),藤村善安(日本工営・中央研究所),高田雅之(法政大)

泥炭地は水文や水質、温室効果ガスなどの調節といった様々な生態系機能を有することが知られている。近年では、開発行為に対する影響評価において生態系機能が考慮されるようになり、また、生態系機能の回復を目的とした泥炭地の再生が行われるなど、泥炭地の質を評価する上で生態系機能が重要な要素となりつつある。米国などでは、湿地開発による影響緩和策としてオフセット制度が導入されつつあり、生態系機能の同質性を評価するための様々な手法が検討されている。生態系機能の一つである栄養塩の保持機能については、これまで、泥炭地を含む様々な湿地でその機能が計測・評価されているが、対象とする泥炭地のタイプや評価方法も異なるため、泥炭地がどの程度の栄養塩保持機能を有するか十分に整理されていない。そのため、泥炭地の同質性評価において、栄養塩保持機能が有効な指標になり得るか良くわかっていない。本研究では、泥炭地を含む様々な湿地において、窒素やリンといった栄養塩の保持量を評価した文献をレビューし、泥炭地が栄養塩保持機能を有するかどうか、また、どの程度の栄養塩保持量を有するかを定量的に明らかにした。その際に、bog、fen、swamp、marshなどの湿地クラスによって栄養塩保持量が異なるかどうかを調べた。さらに、レビューした文献から得られる情報を基に、湿地クラスの他に、栄養塩保持機能に影響を及ぼす要因について検討した。以上を踏まえて、泥炭地の同質性評価の指標として、栄養塩保持機能の有効性を検討した。


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