| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-105 (Poster presentation)

ヤマガラは給餌位置を固定するのか?〜近縁種のシジュウカラと比較して〜

*石井絢子(九州大・シス生), 江口和洋(九大院・理・生物)

鳥類のいくつかの種で親が巣の決まった位置から給餌することが知られている。シジュウカラ(Parus major)は、巣内の決まった位置に立ち、限定された範囲にいるヒナに給餌する。この給餌位置は、観察日、観察年が異なっても一定している。一方で、ヒナは巣の特定の位置で餌を受け取り、その位置を巡ってヒナ間競争が生じる。ヒナは親の給餌位置を認識しており、親が巣に戻る以前から給餌を受けやすい場所を争っている。

給餌位置を偏らせることの適応的意義は、ヒナ間競争をコントロールするためであると解釈されているが、明らかではない。ヒナ間競争に基づいて給餌位置の固定が進化するにはその種の生活史が関与すると考えられる。また、これまで給餌位置の固定が報告されているのは、餌をひとつだけ運ぶ単一餌給餌種のみで、複数の餌を運ぶ複数餌給餌種での報告は無い。生活史や採餌習性の異なる種同士を比較すれば、給餌位置を偏らせることの適応的意義が明らかにできるだろう。

本研究では、福岡市油山において同所的に生息するシジュウカラ(単一餌給餌:一腹卵数7〜9個)とヤマガラ(複数餌給餌:5〜7個)を対象に調査を行った。巣箱にビデオカメラを仕掛けて親の給餌位置を調べ、種間比較を行った。この調査により以下の結果が得られた。①シジュウカラと比較してヤマガラの給餌位置のばらつきの方が大きかった、②シジュウカラとヤマガラの給餌位置のばらつきに性差はなかった。

これらの結果から、子の数が多いシジュウカラは狭い給餌範囲で、ヒナ間競争を促進させるのが適応的で、子の数が少ないヤマガラは広い給餌範囲でヒナ間競争を緩和させている可能性が示唆された。


日本生態学会