| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-003 (Poster presentation)

ニューカレドニア産ヒノキ科樹木の遺伝子における自然選択の痕跡

*阪口翔太 (東大院・総合文化),上野真義,津村義彦 (森林総研), 伊藤元己 (東大院・総合文化), James Worth (タスマニア大), Bruno Fogliani (IAC), 井鷺裕司 (京大院・農)

裸子植物の多様性ホットスポットであるニューカレドニアでは,複数の針葉樹が放散的に種分化を遂げている.この中にはヒノキ科2属(Callitris属とLibocedrus属)が含まれており,それぞれの属内で3種に種分化している.ニューカレドニア産Callitris属とLibocedrus属は,オーストラリアとニュージーランドに分布する姉妹種と単系統を成すことから,1回の長距離分散によってニューカレドニアに侵入した後に種分化したと考えられる.2属がニューカレドニアで種分化を遂げる過程では,当地に特有の蛇紋岩土壌への適応に加えて,Maquisと呼ばれる乾性低木植生への進出が平行して起こったと想定される.本研究では,このヒノキ科2属をモデル系としてRNA-seq解析を行うことで,蛇紋岩土壌と島内の特殊環境への適応に重要な役割を果たした適応遺伝子座を特定し,適応遺伝子が属間でどの程度共通しているのかを検証する.2属で平行的に起きた適応進化において特定の遺伝子群に自然選択が働いたかを調べることで,ニューカレドニアにおける針葉樹の多様化プロセスに関する,より一般的な理解を得たいと考えている.


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