| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-029 (Poster presentation)

急速な進化はいつ起きる? 劣性遺伝子の突発的な顕在化

*高橋 大輔, 須藤 正彬, 山中 武彦

個体群内に少数存在する適応的な変異型遺伝子は、いつ集団全体に固定するのだろうか。これまで多くの研究は変異型のinvasion fitnessに着目し、その集団中の他個体との大小関係から侵入初期の動態について議論してきた。しかし、これらの手法は定着後の動態について扱うことができす、さらに初期増加率がほぼゼロとみなさされる劣性遺伝子頻度の拡大などには適用することができない。

これまで薬剤防除や虫害耐性品種の抵抗性管理において、非常に強い選抜を行う区画と非選抜区に分割することで、長期間にわ たって抵抗性の進化を阻害する戦略が提案されてきた。この戦略では高薬量を施用することによって薬剤抵抗性を擬似的に劣性 形質のように振る舞わせることが重要な役割を持っており、劣性遺伝子の動態、とくにその集団中へ固定するまでの待ち時間を取り扱う手法が望まれている。本発表では、二倍体生物における適応的な劣性変異型遺伝子の頻度動態に着目し、その遺伝子が集団に固定するまでの待ち時間を近似する手法を提案する。この近似手法は、頻度動態を二次の項までの多項式で近似することで解析解を得るというものである。さらに、離散モデルであっても、対応する連続時間の微分方程式で近似することによって適用可能である。シンプルな数理モデルを用いて、モデルと今回提案する近似の挙動を比較したところ、広いパラメタ領域でモデルそのものの動態をよく表現することがわかった。


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