| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-154 (Poster presentation)

小型哺乳類における放射性セシウム蓄積の経年変化と部位別濃度比較

山田文雄(森林総研)

放射性セシウム(半減期約2年のCs-134と約30年のCs-137)はカリウムなどと同様にアルカリ金属に属し体内では主に筋肉中に蓄積される.アカネズミにおける事故後3年目の高線量地(空間線量平均3.6μSv/hr)の筋肉中(骨格含む)濃度は1-2年目とほぼ同程度で推移した(3年目の平均値5.7kBq/kg生重,最大16-最小6.4kBq/kg, n=29).また,低線量地(0.2μSv/hr)の放射性セシウム濃度も1-2年目とほぼ同程度で推移した(3年目の平均値0.7kBq/kg生重,1.8-0.2kBq/kg, n=23).ヒメネズミはアカネズミと同程度で推移した(高線量地3年目の平均5.4kBq/kg,2.6-0.09kBq/kg, n=20).ヤチネズミでは2年目に高濃度の1個体(高線量地で最大60kBq/kg)が捕獲されたが,3年目は低濃度個体(平均値7.0kBq/kg,n=2)だけであった.食虫類ではヒミズの濃度は1-2年目でアカネズミと同程度で推移したが,3年目には高濃度個体は捕獲されなかった(平均値2.9kBq/kg,n=5).一方,アズマモグラの濃度は1-3年間ヒミズの1/10程度と低かった.種間の違いは生息環境や餌の違いが反映していると考えられ,年変化の推移とともに検討が必要である.部位別濃度比較事故初年度(2011年)に捕獲したアカネズミ12個体を用いて,体表面汚染量(毛皮)と内部被曝量(筋肉(骨格含む)と内臓(肝臓))を個体ごとに比較した.筋肉中(骨格を含む)濃度(平均5.2kBq/kg)を1とすると,毛皮における平均濃度は0.58,肝臓における濃度は0.45であった.


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