| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-161 (Poster presentation)

遊歩道沿いにおける夏季の刈り取り管理が草原生絶滅危惧植物の個体数に及ぼす影響

太田陽子(緑と水の連絡会議)

山口県中央部の秋吉台国定公園では、歩行者の安全性や快適性を確保するために、年に一度、遊歩道沿いの刈り取り管理が行われている。しかし近年は、秋に刈り取り、刈った草を放置するという作業方法が続けられているため、遊歩道沿いに生育する草原性絶滅危惧植物の個体数が減少したと言われていた。

そこで、生物多様性保全に配慮した作業方法を検討するため、近年の作業方法と、夏季に刈り取り、刈った草を除去する作業方法とで、遊歩道沿いに生育する草原性絶滅危惧植物の個体数を比較した。

調査は2008年から2010年の10月に行った。遊歩道上に、7〜8月に刈って草を除去する区間を2ヶ所(夏刈り・除去区、それぞれ750m、800m)と、従来どおり9〜10月に刈って草を放置する区間(秋刈り・放置区、500m)を設定し、道の両側1mの範囲に生育する草原性絶滅危惧植物の個体数を種別に記録した。

その結果、7月刈・除去区ではムラサキセンブリやウメバチソウ、スズサイコなどの個体数が増加した。対して、秋刈り・放置区ではこれらの個体数は増加していなかった。また、夏刈り・除去区で個体数が増加した種は、短茎、1〜2年草、重力散布のいずれかの特徴を持つものが多かった。


日本生態学会