| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-191 (Poster presentation)

福島県震災避難区域内外における飛翔性昆虫群集

*吉岡明良, 三島啓雄, 深澤圭太(国環研)

東日本大震災による原発事故は福島県の一部地域の住民の避難につながった。避難区域内の生物多様性・生態系サービスの変化をモニタリングし、評価・予測することは、将来の住民帰還時の意思決定に寄与すると考えられる。特に、避難区域内では線量の増加のみならず、耕作放棄等の人間活動の変化を介した影響が生じていることが予想される。本研究では避難の影響を指標する生物種群を検討するため、避難区域を含む福島県の9市町村において、飛翔性昆虫群集の調査を行った。

2014年5月中旬から7月中旬にかけて、各市町村の小中学校(休廃校含む)においてマレーズトラップを設置し、47地点分の飛翔性昆虫群集のサンプルを取得した。サンプルにはハチ目・ハエ目が多く含まれており、キムネクマバチのように避難区域内ではほとんど採集されないというパターンがある種も見られた。これは、餌資源となる園芸植物が住民避難後減少したためかもしれない

避難区域内外で分布パターンの違いが見られた分類群は環境指標として有効である可能性がある。しかし、結果の解釈には注意が必要であり、今後の継続的なモニタリングが重要であると考えられる。


日本生態学会