| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-215 (Poster presentation)

奄美大島 マングース防除事業における在来動物モニタリング

*小椋崇弘(奄美マングースバスターズ),松田維(奄美野生生物保護センター)

奄美大島におけるマングース防除事業は環境省によって進められており、第1期防除実施計画の策定からまもなく10年が経過しようとしている。その間、奄美マングースバスターズによる精力的なわな捕獲作業(近年は年間200万わな日に達する捕獲努力量)を継続して行ってきた。その結果、現在では全島でマングースの低密度化が進み、一部の地域では捕獲数がゼロになるなど、マングースの完全排除に向けめざましい成果が示されつつある。

マングース防除事業では、奄美大島から“マングースを完全排除する”と共に、“固有種の生息数ならびに生息地域の回復を確認すること”が目的として掲げられており、2005年にバスターズが結成されて以来、マングースの捕獲作業と並行して①直接観察、②センサーカメラ、③わなでの混獲情報などによる在来動物のモニタリング調査を実施している。主な調査対象種は、アマミノクロウサギ、アマミイシカワガエル、ヘビ類、ヘリグロヒメトカゲ、アマミヤマシギ、ルリカケス、アマミトゲネズミ、およびケナガネズミである。これまでの在来動物モニタリング調査の結果から、いくつかの種においてマングースの密度低下による効果と推察される回復傾向が示されている。しかし、わな改良など、技術の進歩による混獲数の減少や作業努力量の違いなどにより、アマミトゲネズミやケナガネズミを対象とした混獲情報によるモニタリング結果は、過去との比較や評価が困難な状況になりつつある。

本研究では、これまでのモニタリング調査の手法と結果を整理、評価し、問題点の抽出および今後の課題についてまとめる。

※本研究は、環境省請負業務であるマングース防除事業の成果を使用した。


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