| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS13 (Poster presentation)

高崎山ニホンザル群の情報伝達 ~ニホンザルの「餌撒き」を予測した行動~

下郡正嗣, 伊東陸, 衛藤充正, *砥綿夕里花, *尾家晴子, *小川優希乃, 三重野耕介 (大分県立大分舞鶴高等学校)

高崎山自然動物園では、生息するニホンザルに対してコムギとサツマイモの餌撒きを行っており、餌撒きの前になると、サルたちは合図がなくても餌撒き場に集まってくる。サルたちはなぜ餌撒きの開始前から餌撒き場に集まってくるのだろうか。サルたちが餌撒きを知るための情報源を明らかにするため、B群を対象に本研究を行った。移動開始時間調査では、各個体が餌撒き場に向かって移動を始める時間を調査し、職員の餌撒き準備動作を通常時よりも早く行ったり、準備動作を行わずに突然餌撒きを行ったりする実験調査を行った。個体数変動調査では、群れの中心である餌撒き場からの距離を基準に4つの調査エリアを設定し、スキャンサンプリングによって、各エリアの総個体数を1分間毎に調査した。移動開始時間調査から、コムギの餌撒きの情報源は、職員の餌撒き準備動作であると考えられた。また、個体数変動調査から、餌撒き場から遠いエリアにいる個体ほど、移動を始める時間が早いことがわかった。これらの結果から、高崎山に生息するニホンザルは、職員の餌撒き準備動作から餌撒きを予測する能力があると結論付けた。


日本生態学会