| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T08 -- 3月20日 9:00-11:00 K会場

ネオニコチノイド系農薬と生物多様性:何がどこまで分かっているか? 今後の課題は何か?

企画者: 林岳彦(国立環境研)

タイトル:ネオニコチノイド系農薬と生物多様性:何がどこまで分かっているか? 今後の課題は何か?

企画者:林岳彦(国立環境研)

概要:

現在、ネオニコチノイド系農薬が生物多様性に与える影響が世界的に懸念されている。ネオニコチノイド系農薬は、有機リン系農薬に代わり90年代から主力農薬として普及してきたクロロニコチル系殺虫剤の総称であり、現在までに全世界的に広く普及している。欧米では主にヒマワリやナタネなどの種子コーティング剤として主に用いられている。一方、日本では種子コーティング剤としてではなく、主に粒剤や水和剤の形で土への混和や空中散布により稲や園芸作物等に対して広く施用されている。

 2013年、ネオニコチノイド系農薬がミツバチへ与える影響の懸念により、ネオニコチノイド系農薬3剤を含む農薬4剤について2年間の時限付きの使用禁止措置がEUで施行された。この禁止措置を一つの契機として、日本においても生態学者はもちろん一般市民の間でもネオニコチノイド系農薬についての議論が急速に高まっている。しかし、それらの議論ではしばしば、この問題に取り組むにあたって当然峻別すべき幾つかのポイント(家畜ミツバチ/野生ミツバチ、ミツバチ/送粉者一般、農薬一般の問題/ネオニコ特有の問題、科学的な事実/事実に基づく推測)が未だ混同されたまま議論が行われているのが現状である。また、本問題を理解する上では、生態学的な側面だけではなく背景にある「日本の農業をとりまく環境の変化」を理解する必要がある。本企画集会は、生態学者がこの問題に取り組むにあたって必要となる基礎情報および科学的知見を事実ベースで整理し、今後の課題を浮かび上がらせることを目的とする。

[T08-1] ネオニコチノイド系農薬の基礎知識  永井孝志(農環研)

[T08-2] ネオニコチノイド系農薬等のハナバチ類への影響  滝久智・安田美香・永光輝義(森林総研)

[T08-3] ネオニコチノイドによる生物多様性影響評価  五箇公一(国立環境研)

[T08-4] 水田における農生物多様性とネオニコチノイド系農薬:影響指標を求めて  日鷹一雅(愛媛大学)


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