| 要旨トップ | ESJ62 自由集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


自由集会 W23 -- 3月21日 17:30-19:30 E会場

MAFES「マングローブ林での土壌圏炭素動態」

企画者: 大塚俊之(岐阜大・流圏センター), 友常満利(早大・理工研), 吉竹晋平(岐阜大・流圏センター)

地球上の森林生態系の中で、マングローブ林(特にその土壌圏炭素[SOC])は最もCarbon -richであり、特異的に大きなNEPを持つことから、地球温暖化問題を背景にして注目が集まっている。一般的な森林生態系でのSOC動態は、リターによるインプットと、土壌微生物の分解呼吸によるアウトプットの収支によって説明できる。しかしマングローブ林は水を介して海や上流の森と繋がっており、SOC動態は非常に複雑である。有機物は、河川の流れと潮位変動を介して上流の森林生態系や海洋生態系から流入し、逆に林内土壌からの有機物の流出も引き起こすだろう。土壌微生物による分解フラックスについても単純では無い。土壌表面の好気的呼吸は、一般的な森林と同様に土壌呼吸として放出されるが、深い土壌での嫌気的呼吸(主に硫酸還元菌)は、林内の土壌間隙水に溶けて溶存無機炭素として流出したり水面からCO2として放出される。また一般的な森林と異なり、常に水に浸かっているCWD(粗大有機物)は炭素放出源として無視できないであろう。このように、マングローブ林のSOCプールが何故巨大なのかを理解するためには、従来の生態系生態学的手法だけで無く、土壌及び水中を含めた腐植物質を取り扱う土壌有機化学との連携が重要である。今回のMAFESでは、石垣島吹通川河口のマングローブ林を対象として、生態学と土壌学の連携研究の成果を紹介する。

イントロダクション 大塚俊之 (岐阜大) 「なぜマングローブ林の炭素循環?」

コメンテーター 井上智美 (国立環境研)

[W23-1] マングローブ林での従属栄養生物呼吸:土壌および粗大有機物由来の炭素放出  友常満利 (早大・理工研)

[W23-2] マングローブ林での土壌圏炭素蓄積量とその起源:石垣島吹通川を例に  飯村康夫 (滋賀県立大・環境科学)

[W23-3] マングローブ林でのDOCの動態  藤嶽暢英 (神戸大・連合農学)

[W23-4] マングローブ林と海の繋がり  金城和俊 (琉球大・農)


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