| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) I2-13 (Oral presentation)

風力発電施設建設の環境影響評価におけるガン・ハクチョウ類の渡り調査手法の検討

*森口紗千子,小町亮介,向井喜果,坂本大地,山田新太郎,佐藤あやめ,倉橋彩百合,清水英人,佐藤雄大,鎌田泰斗,関島恒夫(新潟大・自然)

自然再生可能エネルギーの推進が図られる中、風力発電施設建設による鳥類への影響として,風車への衝突死や生息地の消失による個体数の減少が懸念されている.そのため,風力発電施設建設にかかる環境影響評価では、猛禽類およびガン・ハクチョウ類などの大型鳥類を中心に、鳥類が生物指標として選定されることが多い.その評価手法は、風車建設予定地における鳥類相の把握と,風車のブレード回転域を飛翔する鳥類の飛行軌跡を描き,その飛翔頻度より建設後に期待される衝突率を算出することが主とされている.しかし、風力発電建設前の環境アセスメントの事前調査の渡り鳥の調査期間は、ガン・ハクチョウ類が通過する春および秋にそれぞれ5日程度と短く,その地域の渡り時期における全体の通過個体数や渡り様式を反映した結果が得られているのかについて十分に検証されていない.そこで,建設中の風力発電施設において運用前に調査を行ない,ガン・ハクチョウ類の調査手法を検討することを目的とする.

調査は秋田県内の運用前および運用中の風力発電施設2カ所を含む地域で行なった.風車全基が見渡せる3地点で日の出から日没まで定点調査を行ない,出現したガン・ハクチョウ類の飛翔軌跡、および観察時の地上からの高度を記録した. 発表ではこれらの結果に基づき、環境アセスメントの効率化や適性化につながる調査手法の在り方について考察する.


日本生態学会