| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-008 (Poster presentation)

諏訪湖周辺の河川及び水路における水生植物群落の分布及び構造と立地環境条件との関係

*福村友(信大・農),大窪久美子(信大・学術院農)

本州中部に位置する諏訪湖では水質汚濁に伴う水生植物の多様性の低下が指摘されてきたが、周辺の水路や河川における知見は乏しく、流水域での現状の把握が必要である。そこで本研究では諏訪湖周辺の河川や水路における水生植物の分布と立地環境条件との関係性を明らかにすることを目的とした。

水生植物調査は湖の北部と南部の2調査地域における河川および水路を対象とした。水路分岐点と材質構造を基準とした区間を1区画として出現種と被度を、また立地環境条件として各区画の水質と水深、流速、材質構造を測定記録した。さらに管理状況については市町村の担当者や各区長の方々に聞き取り調査を行った。

総計637区画で総種数は75種が記録され、絶滅危惧種は環境省RDB及び長野県RDB記載の17種が確認された。TWINSPAN解析では11群落型が得られ、3タイプの河川型、4タイプの湧水型、4タイプの水田雑草型に分けられた。また、全出現種は10種群に分類された。河川型のエビモ-ササバモ群落型は水深やDOが大きく、ECが低いことが、クロモやササバモ等の沈水植物の出現に寄与したと考えられた。また、河川型のホソバミズヒキモ-ヒシ群落型はECが比較的大きく、泥質であることがマコモやヒシの生育に寄与していると考えられた。同じくツルヨシ群落型は流速が大きく、砂礫質であるためツルヨシが出現したと考えられた。水田雑草型の4群落型では小規模水路の割合が大きく、周辺土地利用は水田が多く、ECが高かった。湧水型のミズハコベ-ヒメウキガヤ群落型は流速が大きく、砂礫質であり、湧水が流入し、ミズハコベやバイカモ等が出現した。地域としては北部と南部で底質や水質等の立地環境に違いがあり、それらが種組成の違いに影響していると考えられた。


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