| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-125 (Poster presentation)

北海道に同所的に生息する3種の野ネズミにおけるタンニン摂取量の季節変化

*秋元 佑香(北大・環境科学院),小野寺 緑也(北大・環境科学院),島田 卓也(森林総合研究所),齊藤 隆(北大・FSC)

ミズナラ堅果(ドングリ)は、植物が生産する被食防御物質であるタンニンを高濃度で含んでいる。アカネズミ等の野ネズミは少量のタンニンを一定期間摂取し続けること(馴化)によって、タンニン摂取による消化阻害などの悪影響を克服できることが報告されている。また、北海道に同所的に生息する3種の野ネズミ(アカネズミ、ヒメネズミ、エゾヤチネズミ)のタンニン耐性については、アカネズミが最も高いと報告されている。本研究では、3種の野ネズミについてタンニン耐性の種間差と野外におけるドングリ利用との関係、タンニン耐性の構築プロセスの解明を行った。2013年から2015年の雪解けから雪が降り積もるまでの各月(5月-10月)に北海道大学雨龍研究林において3種の野ネズミの糞を採取し、Shimada et al. (2011)に従って糞中のプロリン含有率からタンニン摂取量を推定し、季節変異と種間変異について分析を行った。アカネズミの野外での推定タンニン摂取量は、3年間を通じて、春から秋にかけて増加する傾向が認められたが、他の2種においてはこのような傾向は見られなかった。また、エゾヤチネズミにおいては本手法の検量モデルから外れており、推定値の信頼性は低いと考えられた。アカネズミとヒメネズミの推定タンニン摂取量は、春と夏には有意な差は見られなかったが、秋にはアカネズミの方が有意に高い値を示した。秋のタンニン摂取量の種間差は、タンニン耐性の高いアカネズミのみがタンニンに富むドングリを秋に高頻度で利用していることを示唆している。また、アカネズミとヒメネズミのタンニン摂取量が春と夏には差がなかったことから、アカネズミは馴化に必要なタンニンを常に摂取しているのではなく、馴化は秋の比較的短期間に行われていると考えられた。


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