| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-347 (Poster presentation)

砂防・治山ダムによる物理環境の改変が魚類・底生動物・藻類群集に及ぼす影響 -人為的改変はトロフィックカスケードを引き起こすのか?-

*竹川有哉(徳島大院・先端),河口洋一(徳島大院・STS),布川雅典(北大院・農学研究院),岸大弼(岐阜県河川環境研究所),谷口義則(名城大・理工)

世界自然遺産である知床半島には300基以上の砂防・治山ダムが存在しており、その影響として瀬淵構造の変化や河畔林の消失が報告されている。これらの河川工作物による環境の変化は魚類・底生動物・藻類群集に様々な形で影響し、その程度も一様ではないと考えられる。また、河川工作物による影響が捕食者、または被捕食者にのみ影響している場合でも、その影響が間接的に捕食者や被捕食者に影響することも考えられる。本研究では、ダムによる河川環境の変化が魚類・底生動物・藻類群集に与える影響を解明し、捕食者と被捕食間の間接的な影響についても検証を行う。調査はダム設置河川と設置されていない河川を6河川ずつ選び、それぞれで30~50mの調査区を3区間ずつ設けた。調査区ごとに、エレクトリックショッカーを用いた魚類調査を、瀬の6地点でサーバーネットによる底生動物と藻類の採取を行った。調査区の物理環境として、流速・水深・河床材粒径・河畔林の鬱閉度・水温を計測した。結果、優先魚種であるオショロコマの密度は、水温による影響が最も大きく、河畔林の少ない区間では底生動物である藻類食者の密度が高くなる傾向にあった。これらの結果から、河川工作物による直接的な影響と間接的な影響について、魚類、底生動物、藻類量の捕食-被捕食の関係を考慮しながら考察していく。


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