| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-142 (Poster presentation)

環境条件の変化による納豆菌コロニーの増殖拡大~実験とシミュレーション分析~

*遠藤敏生(兵庫県大),波夛拓哉(兵庫県大),榎原周平(兵庫県大),中桐斉之(兵庫県大)

納豆菌や枯草菌を栄養を含んだ寒天培地に接種すると表面で成長・分裂を繰り返しコロニーを形成する。このような生物現象は、生物体内での生化学的因子と物理・化学的環境条件と連関して起こる。そして、バクテリアの様な単純な生物では、パターン形成や増殖が物理・化学的な条件に大きく左右される。本研究では納豆菌(Bacillus subtilis natto)を用いてパターン形成や増殖拡大のメカニズムを解析していく。バクテリアコロニーの形成過程の研究は、生物の形態形成機構を解明するための単純で基本的なモデルとして有用であると考えられる。

寒天培地を作成する際、栄養・寒天濃度を変化させると様々なパターンが見られる。一般的に、寒天濃度が低ければ栄養の拡散が起こりやすく、コロニーは大きくなることがわかっている。予備実験において、枯草菌は寒天濃度が低くなり栄養濃度が高くなるにつれてコロニーが大きくなっていったが、納豆菌は栄養濃度が高い場合に違うパターンが見られた。納豆菌では、寒天濃度が低く栄養濃度が高い場合にコロニーの拡大が抑制された。予備実験で見られた納豆菌のコロニーの拡大が抑制される条件を、増殖率に影響を与える栄養濃度、栄養の拡散に影響する寒天濃度を変化させ発見し、寒天濃度が低い条件でコロニーの拡大が抑制される際、徐々に拡大が抑制されるのか、寒天濃度の変化とコロニーの拡大抑制にはどのような関係があるのか明らかにした。さらに、シミュレーションモデルを構築し、実験結果と合わせて報告する。


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