| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-217 (Poster presentation)

NGSを利用したチシマザサのジェネット内SNPs変異

岡野邦宏(秋田県立大),松尾歩(首都大),蒔田明史(秋田県立大),鈴木準一郎(首都大),陶山佳久(東北大学),*井上みずき(秋田県立大)

植物の齢を推定することは難しい。特に、クローン成長によって新たなラメットを形成するクローナル植物の齢を特定することは、極めて困難である。齢を推定する方法の1つとして、個体内の体細胞突然変異の数と多様性から算出する方法が注目されてきた。しかしながら、従来の遺伝子解析で得られる体細胞突然変異の情報量は少なく、推定精度は高いとは言えない。そこで、本研究では齢が概ね明らかなチシマザサ( Sasa kulirensis )を用いて、次世代シークエンサー(NGS)を利用した改変GBS法によって網羅的なSNPs情報を得えることで、高精度な齢の推定方法を確立することを目的とした。

十和田湖外輪山甲岳台より採取した齢の異なるチシマザサをSSR解析により個体識別を行い、解析に用いる個体を4つ選定した(18年生:3個体、80年生以上:1個体)。なお、GBS解析には同一個体内の異なるラメットから4~8試料/個体、計24試料を用いた。本研究では、より多くのシーケンスリードを得られるようにGBS法を改変し、TASSEL3.0 UNEAK pipelineを用いてSNPsの蓄積量および多様性を測定した。

共通座における個体内のSNPsの検出数には、齢や個体による差が認められなかったが(105〜248)、SNPsの多様性は齢が古い個体で高いことが分かった。このことから、齢の推定には、SNPsの多様性を利用することが妥当である可能性が高いことが示唆された。これらをもとに、時間軸増加に伴う同一ジェネット内のSNPsの変異幅につい議論すると伴に、RAD-Seq法によるデータと比較することで、改変GBS法の長所・短所やそれに合った解析法についても検討する。


日本生態学会