| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-243 (Poster presentation)

石垣島マングローブ河口域の底質特性と海草藻場分布

*寺田一美(東海大・工),橋本真佑(東海大・工)

熱帯・亜熱帯沿岸域には、マングローブ-海草藻場-サンゴ礁から成る複合的な生態系が形成され、それらは物質循環、生物多様性の維持等で互いに関連し合うと考えられるが、その根幹を支えるメカニズムについてはいまだ十分な見識が得られていない。また複合生態系の物質循環を検証するには、海草やサンゴの正確な分布域の把握、経年変化検証が必要になるが、水域内での詳細な生物分布図は非常に少ないのが現状である。

本研究ではマングローブ、海草、サンゴが共存する沖縄県石垣島吹通川沿岸域において、沿岸域の海草、サンゴ分布調査ならびに流速・海底地形測定、水質、底質調査を行っており、本発表では、海草・サンゴ分布調査結果、河口での断面流速分布と流況の検証結果、ならびに表土サンプルの分析結果を報告する。

2012年に行った沿岸表層流速測定結果から、吹通川沿岸には強い澪筋が形成されており、下げ潮時にその澪筋に沿って河川フラッシュが発生し、土砂や栄養塩等が海へ流出することが分かった。底層流速分布と比較すると、表層では底層に比べ速い流れが、より長距離にわたって続いており、この流れに乗ってマングローブ起源のリターが沿岸域へ流出している可能性が示唆された。また、河口断面流速を上げ潮時と下げ潮時で計測したところ、上げ潮時には流心は河道中心で砂州の背後に回転流域を形成しつつ遡上するものの、下げ潮時には砂州により流心が河道左岸側に偏ることが判明し、潮汐による流動分布の差が明らかになった。


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