| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-293 (Poster presentation)

外洋性海鳥の体サイズの種内地理変異

*山本誉士(名大院・環境),河野裕美,水谷晃(東海大・沖セ),依田憲,松本祥子(名大院・環境),河邊玲(長崎大・環東シナ海セ),渡辺伸一(福山大),岡奈理子(山階鳥研), 佐藤克文(東大大気海洋研),山本麻希(長岡技大),須川恒(龍谷大),狩野清貴(網野高校), 塩見こずえ(極地研),米原善成(東大大気海洋研),高橋晃周(極地研)

一般に動物の体サイズは寒い高緯度域では大きく、暖かい低緯度域では小さい傾向がみられる。本研究では、外洋性海鳥であるオオミズナギドリの体サイズの種内変異を調べ、それがベルグマンの法則(ジェームスの法則)で説明できるか検討した。繁殖分布域の北限から南限にかけて、8 カ所の繁殖地で外部計測をおこなった。主成分分析により体サイズ指標を求め、性別間および繁殖地間で比較した。さらに、体サイズと各繁殖地の緯度・経度・気温との相関を調べた。その結果、オオミズナギドリの体サイズの地理変異は、緯度および経度と正の相関を示し、そして気温とは負の相関を示していた。一方、体サイズを各繁殖地間で比較すると、いくつかの個体群では低緯度に位置する繁殖地よりも小さい傾向が見られた。外洋性海鳥では、採餌行動が形態的特徴に影響することが報告されている。本研究により、外洋性海鳥であるオオミズナギドリの体の大きさの種内地理変異は全体的にベルグマンの法則(ジェームスの法則)に従うが、さらに各繁殖地が位置する海洋環境と関連した採餌行動の特徴が体サイズに影響している可能性が示唆された。


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