| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-299 (Poster presentation)

2014年日本海で同所的に採集されたカタクチイワシとマイワシの食性

*馬場孝, 森本晴之, 後藤常夫(水研セ・日水研), 南條暢聡(富山県農林水産部), 尾田昌紀(鳥取県水試), 上野陽一郎(京都府農林水産技術センター海洋センター)

カタクチイワシ(以下カタクチ)やマイワシの資源量は周期的に変動することが知られている。両種はともにプランクトンを捕食し、両種対馬暖流系群の産卵盛期は春期である。産卵期には、両種間で餌生物の競合が考えられるが、日本海における両種産卵期成魚を対象とした食性比較研究は少ない。そこで、日本海で同所的に採集された産卵期成魚2種の食性を明らかにすることを目的とした。

鳥取沖(まき網:4月上旬・下旬)、若狭湾(大型定置網:3月下旬・4月上旬)、富山湾(定置網:5月下旬)で採集されたカタクチ149尾マイワシ158尾を用いて、胃内容物を分類群ごとに計数した。

4月上旬の鳥取沖では、両種とも端脚類(胃内容物の動物プランクトン・魚卵全個体数に占める割合:89%)、カイアシ類(6~9%)を捕食していた。下旬のカタクチはカイアシ類(75%)、端脚類(15%)を捕食したのに対し、マイワシはカタクチ卵(95%)を捕食しており、1尾当たりのカタクチ卵捕食数は最大で818個に達した。若狭湾と富山湾では、カタクチはカイアシ類(90~100%)を、マイワシはカイアシ類(48~78%)、魚種不明の卵(8~42%)、カタクチ卵をわずかに捕食していた。

日本海における両種の産卵期成魚は、多くの場合カイアシ類や端脚類を捕食しており、餌生物の競合が考えられた。また、マイワシについては時期によってカタクチ卵を含む魚卵もかなり捕食していた。この結果は、マイワシによるカタクチ卵捕食がカタクチの初期減耗要因の一つになりうることを示唆するものである。


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