| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-372 (Poster presentation)

ニホンザルの保全・個体数管理に向けた顔認識システムの構築

*大谷洋介(大阪大・未来戦略), 小川均(立命大・情報理工)

ニホンザル(Macaca fuscata)を対象とした獣害対策、個体数管理、社会生態調査を効率的に行うためには、集団の分布状況や個体数を把握する必要がある。直接観察による個体識別法はそのための有効な手段であるが、一方で個人の記憶可能な個体数・記憶の継続・他者への伝達の困難さ等の空間的・時間的制限が存在する。またテレメトリー法は継続的な位置特定が可能であるが捕獲に多大なコストが必要で、個体への負担もゼロではない。

近年、ヒトを対象とした顔領域抽出・個人識別システムが実用化されつつあり、これをニホンザルに適用することができれば安価で空間的・時間的制限を拡張した生息状況のモニタリングシステムが実現可能となる。しかしながらヒトとニホンザルの顔は形態的特徴が異なり、新規システムの開発が必要であった。本研究では野性下で運用可能な個体識別システムの開発を最終的な目的とし、ニホンザルの顔領域抽出・個体識別システムの開発を行った。多数の顔画像を元にHOG特徴量を用いた強化学習(Real AdaBoost)により強識別器を作成し、顔領域の抽出を行った。また個体識別には、多数の顔画像から得られた「標準化された顔の要素」の集合である固有顔(Eigenface)を用いた。「画像にニホンザルの顔が含まれているかどうか」および「画像の顔が登録されたどの個体か/登録外の個体か」について識別実験を行っている。


日本生態学会