| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-389 (Poster presentation)

レーダを用いた樹木根系の非かく乱調査 -海岸クロマツ個体の水平根の広がり-

大橋瑞江*(兵県大), 池野英利(兵県大), 柿添哲也(兵県大), 山瀬敬太郎(兵森技セ), 谷川東子(森林総研), 檀浦正子(京大), 藤堂千景(兵森技セ), 平野恭弘(名古屋大)

海岸に生育するクロマツについて,津波や防風に対する機能を評価するうえで重要となる水平根の広がりを,地中レーダ探査を用いて抽出することを試みた。ここでは同心円状にレーダ測線を配置し,(1)レーダ画像からの樹木根の抽出,(2)根のつながりを意識した水平根系の抽出,(3)根を掘り出して得られた鳥瞰図との比較による抽出精度の評価,の 3 つを目的として実験を行った。得られたレーダ画像について,コントラストと円弧波形から根を抽出したところ,そのうちの 76% の抽出波形について,実際に同じ場所に根が存在していた。また,抽出点同士のつながりを考慮して抽出した根系と鳥瞰図とを比較したとろ,7 本の水平根のうち 5 本が,全体的あるいは部分的に実際の水平根を示していた。したがって,地中レーダは主要な水平根の潜在的な広がりを予測するツールとして利用可能だと言える。また得られた波形の情報と抽出精度の関係を検討したところ,円弧の形が美しいあるいはコントラストが強いという 2 基準のうち 1 基準でも満たしている場合,70% を超える高い正答率が得られた。よって波形の情報が根の検出に有効であると考えられた。


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