| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-390 (Poster presentation)

農地景観における鳥類の個体数と土地利用の関係の推定 ―耕作放棄地に注目して―

*埴岡雅史(北大院・農), 山浦悠一(森林総研・植生), 先崎理之, 中村太士(北大院・農)

これまで、湿地や草地、森林から農地への土地利用の転換により、湿地・草地性、森林性の生物が減少してきた。一方で、近年増加傾向にある耕作放棄地は農業活動によって減少してきた生物にとって代替生息地として機能することが示唆されているが、その程度は種によって異なることも指摘されている。そのため、今後農地景観に生息する生物群集を保全するためには、耕作放棄地を含む各土地利用にどのような生物種が生息しているかを明らかにし、耕作放棄地の増加に伴って生物群集がどのように変化するかを予測することが必要である。そこで本研究では、農地景観において、鳥類を対象とし、各鳥類種の個体数と土地利用との関係を調査し、耕作放棄地の増加に伴う鳥類群集の応答を検証した。

本研究の調査地は湿地や草地などの自然環境が農地に転換された北海道石狩地方、および胆振地方の農地景観とした。まず、空中写真判読、および現地踏査をもとに、環境省第7回植生図を7つの土地利用タイプ(湿地、草地、湿性放棄地、乾性放棄地、畑・牧草地、水田、森林)に分類した。次に、土地利用割合の異なる2 ha(100 m×200 m)の調査区を合計48地点設置した。2015年6月上旬から7月中旬の間に各調査区を3回訪問し、調査区内の各鳥類種の個体数を求めた。さらに、解析により各種の個体数と各土地利用割合との関係を推定した。発表では、これらをもとに、耕作放棄地の増加に伴う鳥類群集の個体数や種組成の変化について考察する。


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