| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-404 (Poster presentation)

古土地利用図とプロセスモデルを用いた広域生態系サービス評価

*大場真(国立環境研), 林希一郎(名大未来材料・システム研), 伊東英幸(日大理工)

生態系サービスを推定する際に必要な土地利用・植生被覆は現況データセットと比較して過去におけるデータセットの整備は多くない。生態系における物質循環・蓄積などは過去における状況に大きく依存するが、プロセスモデルを利用する場合、多くは「スピンアップ」と呼ばれる、現在の土地利用が過去でも同じであるかそれに類似した状況を利用した履歴処理を行う。このような初期値で走らせたシミュレーションの結果は、例えば純生態系炭素交換量などに過大・過小推定を生じることになる。加えて量的な変化ではなく質的変化を生じた生態系サービスを推定することも難しい。本研究では1950年代に整備された土地利用図(古土地利用図と呼ぶ)をGISデータ化した。このデータを用い、生態系に関するプロセスモデルによって生態系サービスの過去から現在までの質的・量的変化を推定した。また土地利用変化のもたらした個々の生態系サービスの変化を計算し、統合的な生態系サービスの変化を保全優先度を用いて推定した。対象地域の一つである名古屋市から豊田市にかけて、都市化が生態系サービスを変化させただけでなく、中山間地、山間地における植林が生態系サービスに質的な変化を生じさせたことを明らかにした。


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