| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-476 (Poster presentation)

グーグルアースの画像を使って何ができるか?-ダム湖の水の色を決める要因を探る-

*笹木 義雄・徳重颯(柳学園中学・高校)

Google Earthの画像は,様々な撮影時期の画像が組み合わされて構成されているため,同時に撮影された画像を広域で入手することは難しい。しかし,限定された地域にしぼると,過去10年程度まで遡って時系列の画像を無料で入手することができる。本発表では,学校周辺の諭鶴羽山系(兵庫県淡路島南部)のGoogle Earthの画像を比較し,ダム湖の水の色の経年変化の要因を探ることとした。

湖の水の色の経年変化が最も激しかった初尾川ダムを中心に,撮影日が同じ画像をGoogle Earthを用いて4時期取得し,これらの画像のいずれにも存在する7地点のダム湖を調査対象とした。これらの湖面の水の色を「Color Picker」という色分解フリーソフトでRGB(赤・緑・青)成分に分解し,各色成分ごとに0~255で評価した。ちなみに,RGB(0,0,0)は黒,RGB(255,255,255)は白を表し,数値が高いほど明るくうすい色となる。

4時期の7地点のダム湖の水色のRGB値がどのような因子からなるかを明らかにするために,多変量解析ソフト「PC-ORDver.5」の主成分分析を行った。また,想定された因子の妥当性を検証するために,2015年10月1日に現地調査を実施し,湖面の撮影,透視度およびパックテストによる水質調査を行った。

画像解析の結果,撮影前3ヶ月間の積算降水量が多いほど,RGB合計値の平均値は増加する傾向にあり,特に,2004年秋に淡路島を直撃した台風23号による異常出水後の水色はよりうすく明るくなった。また,諭鶴羽山系において経年的に裸地が減少しているためか,RGB値合計値の平均は減少傾向にあり,水の色は近年になるほど濃く,暗い色になった。さらに,水の色から3つの主成分を抽出できた。


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