| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-003 (Poster presentation)

観音山総合研究1 観音山ニッコウキスゲはどこから来たか?

*橋本 実希, *太田 直輝 (埼玉県立熊谷西高校)

埼玉県熊谷市三ヶ尻にある観音山北面にはニッコウキスゲが生育している。ニッコウキスゲはススキノキ科のへメロカリス属に属し、主に亜高山帯から山地帯の草原などに生えている。私たちは観音山の環境が他のニッコウキスゲの生育環境と異なり、低地に生育していることに着目し、ニッコウキスゲが観音山に生息する経緯をたどった。私たちは、氷期が終わり温暖になったことで、他の植物が侵入し始めたが、観音山は他の植物が侵入しにくい環境があったため、ニッコウキスゲは取り残されたのではないかと考え、調査・研究を進めた。

植生調査より、観音山北面には多種多様な植物があり、在来種が多く帰化種が少ないことが分かった。また、他の研究者の研究により観音山のニッコウキスゲは遺伝的にも多様性に富んでいることから、全て人為的に植えられたとは考えにくい。発芽実験より、種子の密度が大きいものほど発芽率が高いことが分かった。これらにより私たちは、氷河期に低地に分布を広げたニッコウキスゲが観音山に取り残されて、そこに生息していると考えた。


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