| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-016 (Poster presentation)

揖斐川水系支流におけるイワナとアマゴの属間雑種の解析

*森本 早稀, *北村 拓斗, 後藤 暁彦, 丹羽 大樹, 神戸 朱琉, 前田 晃太郎, 江崎 正英, 久冨 匡皓, 小島 瑳希子, 後藤 那月, 佐賀 美月, 高山 あまね, 塩谷 祐貴, 岡田 翔吾, 鷲見 太樹, 坪井 玲, 八戸 啓太, 矢島 佳依 (岐阜市立岐阜高等学校)

岐阜県の揖斐川水系粕川の支流において,2012年に背中に虫食い状の黒い斑紋を有するサケ科魚類が多数確認された。これまでの研究で,これらの個体は本河川に生息するイワナ雄とアマゴ雌の交雑種であると判明した。

本研究では,交雑種の年齢を特定するため,耳石と鱗の解析を行った。耳石の解析からは,年齢を特定することはできなかったが,鱗の解析によって2012年と2014年に捕獲された個体は,異なる年に誕生していたことが示された。また,交雑種の生殖腺の異常発生時期を特定するためにイワナ雄とアマゴ雌で人工授精を行い,稚魚の生殖腺パラフィン切片像の比較を行った。精巣形成には差がなかったが,卵巣形成ではイワナとアマゴに卵母細胞が,交雑種には卵原細胞のみが観察された。継続した釣獲調査の結果,2014年3月以降交雑種は捕獲されていなかったが,2015年9月に再び捕獲された。

以上の結果から,本河川では交雑種形成が散発的に起こっており,交雑種は一過性のF1個体であることが示された。また,卵巣形成にのみ稚魚の段階からイワナやアマゴに比べて異常が見られることが分かった。


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