| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T08-1 (Lecture in Symposium/Workshop)

統合的観測解析システムの構築による全球・アジア太平洋の炭素循環の変化の早期検出

三枝信子(国環研)

将来の気候変化を予測するため、生物地球化学的プロセスを含む地球規模のモデルを用いた研究が進展している。しかし、地球規模で現実に起こっている環境変化や生態系の変化、それに伴う二酸化炭素(CO2)などの温室効果気体の循環の変化を検出し、その原因を定量的に明らかにするには、地上観測点から全球規模に至るさまざまな空間スケールで、多様な観測データとデータ解析システムを統合的に用いる、新たな地球環境変化の評価手法の確立が必要とされている。

これまでに、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)を始めとする地球環境観測衛星、航空機、船舶、地上観測ネットワーク等を利用したCO2などの温室効果ガスの観測が行われ、多様なデータが蓄積されている。また、CO2濃度の観測値と大気輸送モデルを用いて、いわゆるインバージョン解析により大気の側からの拘束を利用して地域毎の温室効果ガスの地表面フラックスを推定する手法(トップダウン法)や、地表付近で観測された温室効果ガス収支を衛星データやプロセスモデルを用いて広域化する手法(ボトムアップ法)の研究も発展している。本講演では、トップダウン・ボトムアップ手法を統合的に用いて、地域別の炭素収支の評価を行う研究や、炭素循環が変化し始めている地域を早期検出するための研究について、最近の取組や重要な成果を報告する。あわせて、国立環境研究所が実施中の、高山帯をはじめとする生態系における、地球温暖化の影響検出のための取組についても紹介する。


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