| 要旨トップ | ESJ63 フォーラム 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


フォーラム U06 -- 3月22日 9:30-11:30 RoomB

生物多様性及び生態系サービスの総合評価における国内外の動向 ―自然は人々の幸せにどう関わっているのか―

主催:理事会推薦  中静透, 大澤隆文

2010年5月に公表された「生物多様性総合評価報告書」(環境省生物多様性総合評価検討委員会)(以下「JBO」)は、我が国の社会及び環境が大きく変容を遂げた過去50年間の生物多様性の状況の評価をまとめたものである。JBOはわが国初の生物多様性総合評価で、生物多様性の大まかな状況とその問題点が示された。この結果は、生物多様性国家戦略2012-2020(以下「国家戦略」)の策定等、政策決定にも活用されている。一方、科学的なデータが一部の分野で少ないことや生態系サービスの評価が十分でないなどの課題が残された。

国際的な動きとしては、生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間組織である「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム」(IPBES)が、2012年4月に設立された。IPBESでは、2019年までに地球規模の生物多様性及び生態系サービスに関する評価が実施される予定となっている。

これらの流れを踏まえ、環境省生物多様性及び生態系サービス総合評価検討会では、昨年度から2年間かけて生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO2)の作業を行い、わが国における生物多様性と生態系サービスの状況と傾向、それらが人間の福利にもたらす効果の評価を試みた。今後、JBO2は生物多様性の状況を国民に分かりやすく伝え、政策決定を支える客観的情報としても活用される予定。

本集会では、JBO2の結果を海外における類似評価や関連研究の動向とともに紹介し、JBO2の成果を生物多様性に係る政策にどう活用するか、また生態学の研究にどう活用するか、さらにはJBO2を通じて明らかになった課題も踏まえ、将来同等の総合評価の実施を想定した場合、今後どんな研究の発展が期待されるかなどについて討論を行う。

なお、フォーラムの趣旨説明は中尾文子(環境省)が行う予定。

[U06-1] 生物多様性を巡る国内外の動向  岡野隆宏(環境省)

[U06-2] 日本の生物多様性の総合評価結果  中静透(東北大学)

[U06-3] 日本の生態系サービスと人間の福利への貢献に係る総合評価結果  齊藤修(国連大学)

[U06-4] 海外における生物多様性・生態系サービスの総合評価の状況及び課題  大澤隆文(環境省)


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