| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) G01-04  (Oral presentation)

メダカ科魚類における性的二型の多様化をもたらす遺伝基盤

*安齋賢(遺伝研・生態遺伝), 持田浩治(慶応大・生物), 藤本真悟(琉球大・熱生研), Daniel, Mokodongan(琉球大・熱生研), 永野惇(龍谷大・農), 山平寿智(琉球大・熱生研), 北野潤(遺伝研・生態遺伝)

性的二型、即ち雌雄間での表現型の違いは生物で広く観察されるが、時に近縁種間であっても顕著に多様化する。しかしながら、そういった性的二型の多様化がどのような遺伝的変化によってもたらされるのか、実証的に検証した例は少ない。東アジアから東南アジアに広く分布するメダカ科魚類のうち、インドネシア・スラウェシ島の固有種は、近縁種間で多様化した二次性徴形質を示すことから、性的二形の多様化に関わる分子遺伝基盤の詳細な解明に適したモデル系であると言える。本研究では、島南東部に生息するウォウォールメダカ(Oryzias woworae)の雄が示す、鮮やかな赤色の胸鰭とメタリックブルーの体側部というユニークな性的二型に着目し、その遺伝基盤の解明を目的とした。ウォウォールメダカの雄を、赤や青の体色を持たない近縁種であるセレベスメダカ(O. celebensis)の雌と交配し、F2家系を作出した。本家系を用いて、スペクトルメーターや画像の解析から得られた体色表現型について量的遺伝子座位(QTL)マッピングを行った。その結果、胸鰭・体側共に、体色表現型に関与する複数のQTLを同定することに成功した。現在、各QTL内に存在する原因遺伝子を同定するため、胸鰭や表皮におけるトランスクリプトーム解析を進めており、その結果についても報告したい。


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