| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) H01-01  (Oral presentation)

半自然草地植生のDark diversity

*塩見正衛(放送大学茨城学習センター), 山本嘉人(畜産草地研究所), 平野清(畜産草地研究所), 下田勝久(畜産草地研究所)

植生調査では植物の地上部に見られる植物種ごとの被度や出現頻度などの測定を、種数や種構成の調査を年一回か数年に一回行って、植物群集の時間的変化を追跡する。このような一回の調査では見いだせない種を含んだ植生の種多様性はDark diversityと呼ばれる。
 わたしたちは、2015年5月から、那須塩原市に所在する畜産草地研究所の半自然草地内の、やや植生が異なっている3か所に、1 m  1 mの方形を100個の10 cm  10 cmに区切って小区画を設け、小区画それぞれに対して、5月、9月、11月、2016年3月の4回調査を行った。調査では、出現したすべての種名を小区画ごとに記載した。
3か所の一例では、シバ、ヒメヤブラン、オオチドメ、ニガナ、ミツバツチグリ、メリケンカルガヤ、メドハギが高頻度で出現、ヒメハギ、ヤマヌカボ、ワラビ、チチコグサ、スズメノヒエ、シバスゲ、タチツボスミレが低頻度で出現していた。
調査時ごとの種数は11~12種、調査時 間の共通種数はいずれも10種であった。つづく2調査時 間のいずれかに出現した種数は、12~14種、3調査時のいずれかに出現した種数は14種、4調査時のいずれかに出現した種数は14種で、異なった季節の調査を重ねるに従って種数が増加すること、すなわち、Dark diversityが確認された。Bray-Curtisの指数を利用した種構成の多様性は、1調査時における小区画間の多様性よりも、複数の時調査時を合併して計算した小区画間の多様性の方が均一になり、Dark diversityの存在が種構成を均一化する傾向を示した。
masae.shiyomi.halifax@vc.ibaraki.ac.jp


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