| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-A-018  (Poster presentation)

寄生蜂種特異的抵抗性遺伝子のゲノム網羅的探索

*滝ヶ平智博, 山下晋平, 高橋一男(岡山大学大学院 環境生命科学研究科)

ショウジョウバエ-寄生蜂系は宿主・捕食寄生者相互作用のモデル系であり,特にモデル生物であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において内部寄生蜂に対する抵抗性の研究が数多く行われてきた。これまでの研究から、キイロショウジョウバエの寄生蜂に対する抵抗性には細胞性免疫応答である包囲化反応が関与していること、また抵抗性は寄生蜂種特異的に作用することが知られているが、その遺伝基盤に関しては未解明な点が多く残されている。そこで本研究では、キイロショウジョウバエについて、局所集団由来の全ゲノム解読済み系統を用いたゲノムワイド関連解析を行うことにより、2種の内部寄生蜂Asobara pleuralis及びLeptopilina victoriaeに対する抵抗性に関与する遺伝変異をゲノム網羅的に探索した.両寄生蜂種の各宿主系統への寄生実験を行った結果、寄生が宿主の生存に与える効果が系統間で有意に異なっていたこと、また寄生が各系統の生存に与える効果に寄生蜂種間での相関がみられなかったことから、宿主系統間にはそれぞれの寄生蜂に特異的な抵抗性遺伝変異が存在することが明らかになった。そこで、系統間でみられた抵抗性変異とゲノム上に存在する約180万個の一塩基多型(SNP)との関連を解析し,それぞれの寄生蜂に対する抵抗性に影響を及ぼすSNPを特定した.本発表では,特定されたSNPから抵抗性に関与する候補遺伝子を推定し,キイロショウジョウバエにおける寄生蜂種特異的抵抗性の遺伝基盤について考察する.


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