| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-B-036  (Poster presentation)

近縁な潮間帯性貝類種群における生息地嗜好性と系統地理の比較

*山崎大志(東北大院・生命), 池田実(東北大院・農), 三浦収(高知大・農林海洋科学部), 千葉聡(東北大・東北アジア研究センター)

海産無脊椎動物の遺伝的集団構造には、初期生活史が強く影響すると考えられている。生活史に浮遊幼生期をもつ間接発生種間の集団構造の差異は、幼生期の長さの違いが主たる要因であることが多い。一方近年では、集団構造形成の要因について分散能力だけでなく生息地の影響も示唆されている。
 潮間帯性の貝類では、近縁種間で波当たりの強弱に対応した棲み分けが観察されることがある。日本沿岸の潮間帯の普通種であるイシダタミ属貝類では、内湾環境にオキナワイシダタミが、内湾から外湾環境にかけてイシダタミが生息することが知られており、西日本以南の潮間帯においては同所的にみられる場合もある。このような近縁種間で集団構造を比較することで、生息地嗜好性の範囲が遺伝的分化に与える影響を考察できる。
 本研究では日本沿岸におけるオキナワイシダタミ・イシダタミの分子系統・遺伝的集団構造を同スケールで比較し、加えて生息地嗜好性を評価した。結果に基づいて潮間帯性貝類における遺伝的分化機構と生態的特性の関連性を議論する。


日本生態学会