| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-C-116  (Poster presentation)

繁殖干渉の強さは生息密度に依存するか?

*Teppei ARIKAWA(龍谷・理工), 片山昇(京大生態研センター), 天井弘基(龍谷・理工), 川瀬貴礼(龍谷・理工), 川津一隆(龍谷・理工), 京極大助(龍谷・理工), 近藤倫生(龍谷・理工)

繁殖干渉とは、生物種の繁殖活動が他種の繁殖成功を直接的に低下させる現象のことである。繁殖干渉は生物の分布や個体群動態に影響することが知られている。繁殖干渉は異なる種の個体同士が遭遇することで生じるので、個体が経験する繁殖干渉の強さは他種との遭遇頻度に依存すると考えられる。これまで、繁殖干渉の強さは2種の個体数の比に依存して決まると考えられてきた。しかし、繁殖干渉の強さは2種の個体数の比だけではなく、2種の総密度にも依存する可能性がある。なぜなら、2種の個体数の比が同じでも個体群密度が高いほど、個体間の遭遇頻度が増し、繁殖干渉も強まることが期待されるためである。だが、繁殖干渉の密度依存性を実証的に示した研究はない。そこで本研究では繁殖干渉があることがわかっているアズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)とヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatus)の2種を用いた室内での行動観察を行い、繁殖干渉の密度依存性を検出することを目的とした。具体的には、(ⅰ)2種の総個体数を一定にして飼育ケースの大きさを変える操作と(ⅱ)飼育ケースサイズを一定にして2種の総個体数を変える操作の双方を行い、個体が経験する種間求愛頻度を観察した。双方の実験で2種の個体数の比と性比は一定とした。いずれの実験においても供試虫の密度が高いほどヨツモンマメゾウムシのメス一頭が経験する種間求愛頻度は有意に増加した。本研究の結果と先行研究より、ヨツモンマメゾウムシが経験する繁殖干渉の強さは密度にも依存していることが明らかとなった。


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