| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-G-227  (Poster presentation)

越冬期における都市域の中小河川を利用する水鳥

*金森充晃(明大院・農), 倉本宣(明大・農)

現在、宅地開発などにより都市域では鳥類の生息場所が減少している。その中でも河川は、鳥類の貴重な生息場所として残っている。しかし、都市域の河川は水害対策のためコンクリートの護岸化や河道の直線化などが行われてきたことにより、河川においても鳥類の生息に影響を及ぼされてきた。今まで都市域の樹林地や公園緑地などにおいて鳥類群集に焦点を当てた研究は行われてきたが、河川に着目した研究は少ない。特に、人間活動の影響が大きいと思われる中小河川での研究は皆無に等しい。都市域の中小河川はコンクリート護岸の河川が多いが、その中でも鳥類の種数や個体数に差がある。そこで本研究では、都市域の中小河川である4つの河川に着目し、河川を利用する鳥類の中でも水辺に依存する鳥類に焦点を当てて調査し、各河川で見られた鳥類の個体数や種数を比較した。
調査地は、多摩川水系の野川と仙川、荒川水系の善福寺川と神田川の4つの河川とした。調査は2016年11月~2017年1月の6時~12時の間に行い、各河川月に1回ずつ鳥類調査をした。調査範囲は、野川は約12km、仙川は約9.3km、善福寺川は約9.1km、神田川は約9.6kmであった。調査区画は橋と橋の間を1区画とし、ラインセンサス法により地図上に見られた鳥類の位置や種、個体数を記録した。調査対象種は各河川で見られる、カモ科、カイツブリ科、サギ科、セキレイ科、カワセミ科、ウ科、クイナ科、チドリ科、シギ科、カモメ科とした。
調査の結果、仙川(1780羽)で最も多くの個体が確認され、善福寺川(1620羽)、野川(1297羽)、神田川(632羽)の順になった。種数に関しては野川(19種)が一番多く、その次に仙川(16種)、善福寺川(14種)、神田川(10種)の順になった。このように、調査範囲にたいした差はないが河川によって鳥類の個体数や種数に差が出ていることが分かる。発表では得られた結果をもとに調査区画を単位として解析し、考察をする予定である。


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