| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-P-439  (Poster presentation)

多摩川中流において繁茂している外来種ハルシャギクの種子発芽特性

*宮田真生, 倉本宣(明大・農)

 ハルシャギクはかつてワイルドフラワーとして利用された植物の一つであり、北米原産の一年草とされている。明治の初めに観賞用として渡来し、現在では全国的に逸出している。多摩川河川敷にも逸出しており、一部では一面に広がる様子も見られるが、その生理的・生態的な特徴について明らかにしている研究はほとんどない。
 そこで本研究では、発芽実験と植生調査を行うことによって、発芽特性や生育場所をはじめとするハルシャギクの生理・生態学的な特徴について明らかにし、今後の管理や防除への一助とすることを目的とした。
 まず、ハルシャギクの生理的な特性を明らかにするため、段階温度法を用いて種子発芽実験を行った。その際、光条件として、強光条件・弱光条件・緑葉透過光条件・暗黒条件を設定した。その結果、ハルシャギクの発芽可能温度域は広いということと、低温で相対的休眠が引き起こされていることが明らかになった。また、解析の結果から、ハルシャギクは変温効果によるギャップ検出機構を有する攪乱依存型の植物であるということが示唆された。
 次に、ハルシャギクの生態的な特性を明らかにするため、多摩川河川敷において植生調査を行った。50㎝×50㎝のコドラートを1地点につき3つ設置し、ハルシャギクの本数、優占種、土性、地形、群落高、植被率を記録した。その結果、ハルシャギクは、刈り取りや踏圧などの人為的攪乱の大きい場所で多く見られ、また、土性に対する適応力が高いことが示唆された。さらに、11月に行った植生調査においてロゼットが見られたことから、ハルシャギクは一年草ではない可能性がある。
 これらのことから、ハルシャギクはグラウンドとして整備された高水敷を中心に生息地を拡大する可能性があるので、埋土種子についても考慮した管理の方法について検討していく必要がある。


日本生態学会