| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-B-053  (Poster presentation)

西日本の郷土食を対象とした農山漁村の食料供給サービス評価

*古川拓哉(森林総研), 小柳知代(東京学芸大)

日本の郷土食とそれに用いられる食材は各地の気候風土と人との歴史的な関わりの中で育まれてきた。特に食料の流通が限られていた時代においては、森林や農地、草地、河川、沿岸域など周辺の多様な生態系が主な食材の供給源として利用されてきた。社会構造や生活様式の変化に伴い、こうした伝統的知識は現代において急速に失われつつあるが、郷土食には生態系の特徴とその伝統的な利用・管理に関わる地域性が色濃く反映されていると考えられる。
これまで、郷土食と周辺の自然環境の関係については、特定の作物や食材(e.g. 山菜・きのこ)の利用の分布や加工方法と気候の関係などが検討されているが、郷土食に利用される食材全体を対象とした生態学的アプローチを応用した分析は行われていない。そこで、本研究では大正末期〜昭和初期の全国各地の日常食を記録した「日本の食生活全集」に掲載されている西日本の郷土食を対象に、利用されている生物種(品種含む)を調べ、利用されている種の多様性や地域性について、地形や気候などの自然環境要因を考慮して解析した。また、食材の供給源として利用される生態系の種類や多様性に着目し、生態系ごとの食料供給サービスとその季節的な変化を評価した。


日本生態学会