| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-B-057  (Poster presentation)

海がもたらす文化的生態系サービスの利用実態と定量化の試み

*松葉史紗子, 山北剛久(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

生態系サービスは人間の福利を支える重要な役割を担っている。ミレニアム生態系評価で分類された4つの生態系サービス(基盤サービス、調整サービス、供給サービス、文化的サービス)はいずれも過去の人間による生態系の改変による劣化が報告されている。将来にわたって人間が生態系サービスからの恵みを利用し続けるためには、生態系サービスの劣化を食い止め、持続的利用を推進することが必須である。文化的サービスは、レクリエーションや美的景観といったアメニティから、精神的な拠り所や宗教的価値を創出し、その急激な消失は、社会の疎外化や縮小化を招くと危惧されている。しかしながら、文化的サービスはその他のサービスに比べて、指標の開発や定量的な評価が遅れているのが現状である。
本研究では、海の景観がもたらす文化的サービスに着目した。海の景観は、古くから絵画や景勝地としても親しまれ、観光・レクリエーションで利用する観点からは経済的価値も認められている。海が見える場所は、その場所の地形や人工構造物によって変わりうるため、堤防建設やリゾート開発といった土地利用の変化に影響を受けやすいものの、景観と人々の利用を関連づけて十分に評価できていないために、破壊された場合の損失が測られにくい。そこで、堤防の有無や、沿岸周辺の土地利用の違いが、文化的サービスとしての景観利用に与える影響を検証した結果を報告する。


日本生態学会