| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-Q-473  (Poster presentation)

ブドウ果汁における酸素・水素安定同位体比の品種間による違い

*赤松史一(酒類総合研究所), 清水秀明(酒類総合研究所), 鈴木彌生子(農研機構・食品研究部門), 久常有里(酒類総合研究所), 藤井力(酒類総合研究所), 後藤奈美(酒類総合研究所)

ブドウ果汁の酸素・水素安定同位体比は、雨水の酸素・水素安定同位体比を反映して生産地域特有の値を持つことが知られているが、品種間の違いについては知見が少なく不明な点が多い。本研究では、ブドウ果汁における酸素・水素安定同位体比の品種間による違いが何によって生じるのかを調べた。酒類総合研究所の圃場で同所的に栽培されているワイン用ブドウ10品種から各7房を収穫し、果汁の酸素・水素安定同位体比、糖度、及び酒石酸、リンゴ酸、クエン酸の各濃度を測定した。同時期に収穫されたブドウ果汁の酸素・水素安定同位体比は、品種間で有意に異なる結果を示した。熟成が進んでいるブドウほど糖度が高い一方で、総有機酸濃度が低く、糖度と総有機酸濃度は負の相関を示した。ブドウ果汁の酸素・水素安定同位体比は、熟度の指標となる糖度や総有機酸濃度とは相関がなかったが、ベレゾン後から収穫日までの日数によって違いが生じていることが明らかになった。ブドウ果汁の酸素・水素安定同位体比の品種間の違いには、成熟期間が重要な要因になっていることが示唆された。


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