| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-R-479  (Poster presentation)

エゾヤマザクラにおける物理的損傷が当年枝個体群動態と繁殖量の年次変動に与える影響

*長谷川成明(北大・低温研)

樹木の枝系は当年枝の繰り返しによって構成されている。このため当年枝を単位として年次変化を追うことで枝系の発達過程を明らかにすることができる。当年枝は繁殖においても基本単位として機能している。繁殖は成長との間で資源を分割するトレードオフ関係にあり、どのような当年枝が繁殖を行い、それが成長にどのように影響するかは樹木の繁殖戦略に大きな影響を及ぼす。
枝系は時に物理的な破壊により大きな損傷を受ける。このような場合に翌年以降の当年枝の伸長および繁殖にどのような影響を及ぼすだろうか。本研究ではエゾヤマザクラを材料に、枝系の物理的な損傷からの回復過程における当年枝個体群の動態と繁殖の関係性について調査を行なった。
北海道大学札幌キャンパス内に生育するエゾヤマザクラ(Cerasus sargentii)3個体を調査対象に設定した。2010年5月に各個体から枝系1本をランダムに選択し、枝系の先端から当年枝が50本以上含まれる分岐までを対象となる当年枝として設定した。それら2010年の当年枝と、以降そこから由来する当年枝を対象に、2011年から2016年にかけて追跡調査を行なった。調査個体は2013年春に雪害により調査個体3個体中2個体の枝系が大きく折れる物理的損傷を受けた。
当年枝個体群に対して行列モデルを用いた解析を行なった結果、物理的損傷を受けた後には年次変動が極めて大きくなる傾向が見られた。物理的損傷後は繁殖を重視した変動パターンが多く見られ、損傷前の変動パターンへの復帰は見られなかった。これらの結果をもとに繁殖戦略の観点からエゾヤマザクラ当年枝個体群の動態について検討する。


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