| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S14-4  (Lecture in Symposium)

IPBESの描く「科学-政策インターフェイス」:これまでに見えてきた課題と研究者コミュニティへの示唆

*高橋康夫((公財)地球環境戦略研究機関 IGES)

生物多様性の危機とこれに伴う人類への脅威の高まりに対応するため、生物多様性・生態系サービスに関する科学と政策との連携強化に向けた国際的な取組が急展開している。欧州では、2007年に開始されたSPIRALプロジェクト(タイトル仮訳:生物多様性のための科学・政策インターフェイス:研究、行動と学習)により、効果的な科学政策連携の要件を始めとして、生物多様性に関連する科学・政策インターフェイスに関する幅広い経験や知見が整理された。この成果は、2012年に設置された「生物多様性・生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)の計画に重要な示唆を与えている。IPBESは、第1期の作業計画(2014-2018)の開始から道半ばを過ぎたところであるが、SPIRALの示した「効果要件」や国際的なニーズをどのように取り入れているのか、またその野心的な目標に向けて何を成し遂げ、どのような課題に直面しているのか。本発表では、IPBESの国際交渉支援やIPBESフェローとしてアセスメント執筆に関与した経験に基づいてこうした点を整理した上で、IPBESの目指す科学政策連携の強化に向けて研究者コミュニティに何ができるのかについて話題提供する。さらに、保全科学が持続可能な社会の実現に向けた超学際(トランスディシプリナリ)分野に展開する中で、若手研究者がこれにどう挑み貢献していけるのかについても触れたい。


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