| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S14-5  (Lecture in Symposium)

地球温暖化影響から適応へ - 動き出す政策・研究の焦点

*櫻井玄(農業・食品産業技術総合研究機構)

 現在進行中の地球温暖化は、河川の反乱や農作物の豊凶を通して、我々の生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、種の絶滅や生息域の移動・減少・消滅などを引き起こし、生物多様性、ひいては生態系サービスの低下につながる可能性もある。地球温暖化に関する研究は膨大に蓄積されてきており、あらゆる分野について、その影響関する研究がなされてきている。
 現在、政策レベルでは、COP21のパリ協定からCOP22のマラケシュ会議という流れの中で、1.5℃目標に向けた枠組みの作成が進められつつあり、IPCCの1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書 (1.5℃SR) の準備も着々と進められている。その中で、地球温暖化研究のフォーカスは、1.5℃目標を達成するための「技術・政策的なシナリオの解析」、及び、1.5℃または2℃増加した世界における有効な「適応策」に関する研究が重要視されつつあると考えられる。一方で、生態系に関しては地球温暖化の影響に関する研究は膨大になされているが、人為的な対策により影響を抑制することは難しい。つまり、適応策についての余地が必ずしも多くはない分野の一つであると考えられる。本発表では、地球温暖化を取り巻く状況の急速な変化の中で、生態学がどのように寄与しうるのかを考察する。


日本生態学会