| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


企画集会 T05-1  (Lecture in Workshop)

趣旨説明:生態系の緩和・適応策に関する昨今の動向

*岡田慶一(横浜国大・環境情報)

生態系に関連した気候変動の緩和・適応を計画・実行していくには、今何が必要なのだろうか。2016年11月に発行されたパリ協定では「適応の長期目標の設定及び各国の適応計画プロセスと行動の実施」が明記されており、各国が長期目標を策定しなければならない。2016年末時点で、米国、メキシコ、ドイツ、カナダ、ベナン、フランスがすでに提出してるが、生態系に関連した緩和・適応策については、炭素吸収源としての森林の保全・強化や、自然攪乱に伴う炭素喪失の抑制など、主に炭素収支に関連する部分の記述が多い。一方で、炭素貯留以外の生態系サービスについては、喪失可能性は記載されているものの、具体的な適応策の記載は乏しい。これは、CO2などの炭素動態予測と比較して、生物の地理分布や生態系の機能やサービスの予測に関する、国際的な見解一致がまだ確立できていないことが挙げられる。また、生態系保全の適応策は全球的に統一的な方策を用いることは難しく、地域ごとに異なる、生物種や気候変動の影響、社会経済基盤などの状況を統合して方策を確立する必要がある。集会の冒頭に、演題に関わる研究や国際的な枠組みの動向について紹介し、本集会で取り扱う議題や方向性を示したい。


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