| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


企画集会 T11-2  (Lecture in Workshop)

米国・豪州における生物多様性オフセットの評価手法から得られる示唆

*林希一郎(名古屋大学), 伊東英幸(日本大学)

生物多様性オフセット・バンキング(BOO)の制度的な仕組みが諸外国で導入されており、特に米国や豪州において事例の蓄積が進んでいる。BOOにおいては、失われる自然と、再生・創出(または保護)等される自然の同等性、代替性の評価が大きな論点となる。米国では、生物の生息適地に着目したHSI(Habitat Suitability Index)、HGM (Hydro Geomorphic Approach)など様々な評価手法が用いられている。また、豪州では、州ごとに多様な評価手法が導入されており、例えば、ビクトリア州ではHabitat Hectares (HH)、ニューサウスウエールズ州ではBioBanking Assessment Methodology(BBAM)、クイーンズランド州ではBioConditionなどがある。本発表では、米国のHSI(Habitat Suitability Index)、豪州のハビタット・ヘクタール法(HH)、バイオバンキングアセスメント評価手法(BBAM)等に着目した。はじめに、米国や豪州のBOOの実施事例について概観するとともに、HSI、HHおよびBBAMの評価手法の概要を示す。例えば、HSIは、評価対象種の選定に大きく依存するが、主として種を単位とした生息適性評価が中心であり、複数の種のHSIを統合することで生息地・生態系評価が一部可能となる。一方、HH、BBAMは森林等を主とした生態系の豊かさについて、ベンチマーク植生との対比で評価する仕組みである。これらの評価手法の特徴をより明確化することを目的とし、仮想的なBOOのテストサイトの事例研究を行った。仮想的テストサイトは名古屋市内に設け、同一場所にこれらの手法を適用した結果の比較を通じて、各手法の特徴や課題を抽出する。


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