| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(口頭発表) A02-03  (Oral presentation)

昨シーズン新潟県内の養鶏場やハクチョウに高病原性鳥インフルエンザ発生とモニタリング

*小柳充(新潟大学)

行政と養鶏家が連携すれば高病原性鳥インフルエンザの被害は回避できる

 日本では毎年、野鳥から鳥インフルエンザウィルス(AIV)が検出され、大きな社会問題になっている。AIVの本体はRNAウィルス(AIV-RNA)であり、8セグメントから構成されている。新潟県は全国で指折りの鶏卵生産が盛んである。2016年11月29、30日に2ヵ所の養鶏場で高病原性(HP) AIV (H5N6)が検出され55万羽を超えるニワトリが処分された。また、新潟市近郊では、2016年11月27日〜翌年の1月12日まで、オオハクチョウ、コハクチョウ(オ/コハクチョウ)の死亡個体15羽からHPAIV(H5N6)が検出され地元の観光業者などに甚大な被害を与えた。海外では、HPAIVがヒトに感染し死亡した事例があり、マスコミの報道が過熱した。
 昨シーズン(2016年11月〜2017年1月)のAIVモニタリングの結果では、前半と後半の2度のAIVハイリスク期間が存在した。前半のリスクは、韓国の養鶏場や国内でのHPAIVが猛威を振るっている時期とピッタリ一致した。その1週間後に新潟県内の2ヵ所の養鶏場がHPAIVに曝された。行政や養鶏家は連携し効果的なAIV対策を実施した為、後半のリスクを回避できた。後半のリスクは前半よりも高リスクであった。後半のリスクはどこで発生したのか?何故、養鶏場などでHPAIV被害が発生しなかったのか追究していかなければならない。昨シーズン、県内の2ヵ所の養鶏場や新潟市近郊で発見された死亡個体15羽のオ/コハクチョウがHPAIVに感染したのか原因を考察する。


日本生態学会