| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-044  (Poster presentation)

スギ人工林の菌根および土壌における菌叢のメタゲノム解析

*岩崎隼(東京大学大学院), 木村恵(森林総合研究所), 袴田哲司(静岡県農林技術研究所), 井出雄二(東京大学大学院), 齊藤陽子(東京大学大学院), 内山憲太郎(森林総合研究所)

アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は陸上植物の80%以上と共生しているとされ、我が国の代表的な造林樹種であるスギも、AM菌と共生することが知られている。本研究では、スギの根に定着する菌根菌の群集構造を明らかにするために、メタゲノム解析の手法を確立することを目的とした。サンプルとして、静岡県天竜地域の約120年生のスギ人工林においてスギ4個体の細根を採取した。これらの細根に付着した土壌を洗浄した後、改変CTAB法によりDNAを抽出した。まず、 スギに特異的な核SSRプライマー8座を用いて採取した全ての細根がスギであることを確認した。次にrDNA上のSSU領域およびLSU領域に設計された菌特異的な10のプライマーペアを用いてPCRを行った。その後電気泳動により明瞭な目的産物の増幅が確認できた3つのプライマーペアを選び、ライブラリの濃度測定後、Illumina社の第2世代シーケンサーMiseqにより11.4Gbの配列情報を得た。これらの配列について、パッケージClaidentを用いて、配列の類似度97%でクラスタリングしたのち、5リード未満の低出現頻度配列を除去し、得られたコンティグをOTU(Operational Taxonomic Unit)として進化的に同一の菌種とみなした。3プライマーペアを用いて同定できたOTU数はプライマーにより大きくばらつき、SSU上の1プライマーペア(フォワード:AMV4.5NF、リバース:AMDGR)が最も情報量が多く、スギ菌根菌の菌種の同定に有用であると考えられた。


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