| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-007  (Poster presentation)

侵略的外来水生植物オオバナミズキンバイの群落構造

*稗田真也, 野間直彦(滋賀県大環境)

オオバナミズキンバイ Ludwigia grandiflora は北米南部から南米原産の抽水植物で、特定外来生物に指定されている。琵琶湖では、亜種ウスゲオオバナミズキンバイ L. g. subsp. hexapetala が繁茂し問題となっている。侵入リスク解明のため、群落構造を調査した。
群落断面図を作製するため、群落内を踏査して出現種の高さ・幅、水深などを測定した。形態可塑性を明らかにするため、群落内でみられる浮茎(水面方向にのびる茎)、抽水茎水上型(抽水して水上にある茎)、抽水茎陸上型(抽水して陸上にある茎)を対象に、葉(葉身長・幅、葉柄長)と節間距離を測定した。各形態の生産構造図を明らかにするため、層別刈取りを行い、同化器官と非同化器官の湿重量を測定した。
群落内で異なる形態の生活型(浮茎・抽水茎水上型・抽水茎陸上型)を示し、独占的に繁茂していた。浮茎は、同化・非同化器官ともに水面の直上・直下に集中分布し、水底での定着はみられなかった。抽水茎水上型では、同化器官は主に水上に分布し、非同化器官は主に水中に分布し水底での定着がみられた。抽水茎陸上型では、非同化器官は岩石護岸を這い、護岸隙間での定着もみられた。
陸地から水辺にかけて、形態可塑性によりそれぞれの環境に適応した生活型を示すことで繁茂していると考えられる。このため、抽水植物(ヨシ・マコモなど)のみならず、その沖に成立する浮葉植物(ヒシなど)や、そこにまたがって生育する他の侵略的外来種(チクゴスズメノヒエ・ナガエツルノゲイトウなど)が主な競争種であると考えられる。希少種を多く含む原野の植物との競争も懸念される。駆除後は、これらの種の再生が予想される。また、オオバナミズキンバイの水底に沈んだ茎は気づかれにくく、護岸間隙に定着した茎は除去困難であり、取り残されやすい。これらの部位から再生し、再び単一群落を形成する可能性が高いため注意が必要である。


日本生態学会