| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-167  (Poster presentation)

体サイズの大きく異なるコオロギ2種の競争関係

田島伸吾, 山本恭平, *栗和田隆(鹿児島大学)

同じ媒体を使用するシグナルを種内コミュニケーションに利用する複数種が存在すると、別種のシグナルによってコミュニケーションが阻害される可能性がある。例えば、求愛に音響シグナルを利用する種が複数いると同種の定位や質の査定が難しくなるかも知れない。それにも関わらず、野外では複数種のコオロギが同時に鳴いている場面に遭遇することも多い。狭義のコオロギ類は雑食性で主に地表面で生息している。したがって、利用する資源も似通っており、種間競争が生じている可能性も高い。しかし、行動生態学ではよく扱われる材料でありながら、コオロギ類の種間関係に関する研究例は驚くほど少ない。そこで、奄美大島で同所的に生息しているタイワンエンマコオロギTeleogryllus occipitalisとネッタイオカメコオロギLoxoblemmus equestrisの種間関係を幼虫期、成虫期それぞれで解明した。種構成比と密度を独立に操作し適応度成分を比較した結果、幼虫期、成虫期ともに体サイズの大きなタイワンエンマコオロギの方が種間競争において優位であることがわかった。今後は種間競争で明確な優劣関係があるにも関わらず、野外で共存しているメカニズムを検証する予定である。


日本生態学会