| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-217  (Poster presentation)

実践『感染症の生態学』-展示施設における高病原性鳥インフルエンザの防疫対策

*浅川満彦(酪農学園大学大学院), 水主川剛賢(神戸どうぶつ王国, 酪農学園大学大学院), 大沼学(国立環境研究所, 酪農学園大学大学院)

2016年秋から2017年春に飛来した野鳥における高病原性鳥インフルエンザウイルスHAIVの保有状況が最高レベルを記録した。このHAIVは野生鳥類にも感染するので、保全生態学に関わるものにも無視が出来ない事態である。このようなデータは毎年10月から翌年5月、全国の自治体が渡り鳥の飛来地で、水鳥の新鮮な糞便が採集され、国立環境研究所で検査された結果に基づいている。膨大なサンプルを扱うため、糞便をした鳥種までは特定されないが、2008年から2015年の計52地点で得られた約2万サンプルについては、腸粘膜細胞のDNA分析により鳥種分析をした。その結果、AIVが最も多数の陽性個体はマガモAnas platyrhynchos および/またはカルガモ Anas poecilorhynchaであった。また、地域的には北陸から東海にかけての地域に陽性個体が多く、季節的には10月が最も高く、5月までに漸減をすることも判明した(Onuma et al., 2017)。現在、シギチ類についても同様な調査を行っているが(Kakogawa et al., in preparation)。これらを疫学情報を基盤として、国内の動物園水族館で飼育される展示鳥類へのHAIV感染を可能な限り防ぐ効果的な対策手段を検討している(Kakogawa et al., in preparation)。発表ではその概要を紹介したい。


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